太陽電池の特徴について2010.11.6
今回は、【太陽電池の種類について】の続きで、各太陽電池の特徴について、お話したいと思います。
左から、薄膜タンデム・単結晶・多結晶
太陽電池の種類を分類すると、
①結晶シリコン系
(1)単結晶シリコン太陽電池
(2)多結晶シリコン太陽電池
②薄膜シリコン系
③化合物系
④ハイブリッド型
がありますが、それぞれ、単位面積当たりの出力(変換効率)も異なりますし、吸収する光の波長も違います。また、温度による発電効率の影響や、耐久性についても、特徴があります。
①結晶シリコン系太陽電池
(1)単結晶シリコンと(2)多結晶シリコンがあり、太陽電池に使うセルが単結晶か多結晶がという違いで、純度が高い単結晶の方が発電効率が高いのですが、特性はほとんど同じです。
単結晶シリコン太陽電池の製造工程を簡単にすることによって、コストダウンが図られたものが多結晶シリコン太陽電池で、コストと性能のバランスから、現在の主流となっています。
発電効率が比較的高いため、設置スペースが限られる屋根の上に設置するのに適していると言えますし、また、古くから利用されているために、経年劣化に対しても、信頼性があります。
ただし、セルの温度変化により、発電効率が大きく変化するため、夏場の発電効率は20%程度低下します。
②薄膜シリコン系太陽電池
結晶シリコン系太陽電池の約100分の1のシリコンしか必要としないので、原材料費が少なくて済むため、コストダウンが図ることができます。
ただし、これも大量生産が行われての話で、現在の価格はさほど安いとは言えないですし、変換効率が劣ることから、その分大きなスペースと必要とします。
薄膜シリコンには、微結晶シリコンを使用したものと非結晶(アモルファス)シリコンを使用したものがありますが、微結晶シリコンは結晶系と同じく、オレンジ色~赤色の光を電気に変換しますし、アモルファスシリコンは、青色~緑色の光を利用します。
結晶シリコン系の太陽電池の色が青紫色をしていて、アモルファスシリコン太陽電池が赤っぽい色に見えるのはそのためです。
アモルファスシリコン太陽電池は温度変化に対して影響されにくく、夏場の発電効率の低下が、結晶シリコン系太陽電池に比較して、少なくなります。
③化合物系太陽電池
半導体の材料に、シリコンを使わずに、Cu,In,Ga,Se,S(銅、インジウム、ガリウム、セレン、硫黄)等の化合物を使用した太陽電池です。
多結晶シリコン太陽電池よりも多少、変換効率は落ちますが、形態的には薄膜になるため、今後は大量生産によるコストダウンが見込まれます。
特徴としては、起電力が高いため、セルやモジュールについて、配置の自由度が高く、少ない枚数からの設置が可能ですし、影に対する影響が少なく済みます。
また、材料次第で、太陽電池の特性を変えることも可能なので、将来のハイブリット型太陽電池への応用も期待されています。
④ハイブリッド型太陽電池
いろいろな太陽電池がありますが、吸収する光の波長は異なっており、全ての波長を電気エネルギーに変えることはできません。
そこで、異なるタイプの太陽電池を組み合わせることで、幅広い波長の光を捕らえることが出来る様にしたものが、ハイブリッド型太陽電池です。
単結晶とアモルファスシリコンを組み合わせたもの(HIT)※、微結晶シリコンとアモルファスを組み合わせたもの(薄膜タンデム)、化合物系を組み合わせたもの等があり、タンデム(多接合型)ともいわれます。
いわゆる、いいとこ取りを目指したものですが、構造が複雑で、コストが高くなる傾向があります。
※HIT太陽電池の構造は、PN接合が1つのため、構造的には単接合といえます。