- ・お客様:A.H様
- ・お住まい:石川県金沢市
- ・設置面:東面、西面
- ・屋根形状:寄棟
- ・システム容量:3.63kW
- ・メーカー:シャープ
こちらのお客様のご要望は、 出来るだけ多くのパネルを設置して欲しいとの事でした。
通常、屋根全面に太陽光発電モジュールを設置した場合には、屋根の雪止めが効かなくなってしまう事から、設置する前に落ちなかった屋根雪が、設置後に滑り落ちてしまいます。
降ってすぐに、パラパラと屋根雪が滑り落ちてくれれば、影響もあまり無いのですが、少し溶け出してから気温が下がって一つの固まりになってしまい、一気に落ちてしまうケースもあり、こうした場合は非常に危険です。
今回のお宅では、お隣との境界が非常に近く、ご迷惑をお掛けするのでは・・とお客様も心配されておりました。
もちろん太陽光発電パネルを設置する場合に、雪が絶対に落ちないという事はお約束はできないのですが、影響を少なくするための対策として、以下の様なものがあります。
①軒先にやや広めの雪溜めスペースを確保し、既設の雪止めを活用する。
②軒先に雪溜めスペースを確保し、新たに雪止めを設置する。
③パネル上に雪止めを設置する。
①と②は、パネル上に降った雪は軒先の雪溜めスペースに滑り落ちますので、動いた雪を止める方法ですし、③はパネル上に降った雪を動きにくくする方法です。
今回は、軒先にスペースが確保出来そうもない事、最深積雪量が1m以上の地域で、積雪が余り多く降らない地域である事、出来るだけ多くのパネルを設置したいというお客様の要望を考慮して、③をご提案させて頂きました。
こうする事で、降った雪が一つの固まりとなった時に、全ての雪が一度に滑り落ちにくくなります。→雪止めの様子はこちら
しかし、パネル上に降った雪が滑り落ちにくくなるという事は、パネルに対して積雪の過重が掛かってしまう事になります。特に北陸の雪は湿気が多く、屋根雪の過重はかなりのものになりますから、場合によってはパネルが雪の重みでしなって、強化ガラスが割れてしまうといった事も考えられます。
シャープでは、積雪地域では軒先に雪が溜まる事を想定して、再下段のパネルにテンションバーと呼ばれる強化棒を設置する事を標準としていますが、今回はメーカーが想定していないケースですので、積雪対策として全てのパネルにテンションバーを設置しました。
また、海から近い地域でしたので、耐塩害仕様とし、屋内・屋外兼用のパワーコンディショナーJH-M0B2を屋内に設置するシステムとさせて頂きました。
パネルについては、シャープの住宅用太陽光発電モジュール(末尾にAAがつく機種)は、今年度分より全て重塩害仕様となっておりますので、安心です。(重塩害仕様では、直接波飛沫が掛からない場所で設置可能。住宅用ではシャープ・三菱のみ、2011年11月現在)
パネルからの配線も、配線金具を使用して屋内に引き込みましたので、配線の耐候性・外壁の美観も考慮させて頂きました。
※②と③のケースは、メーカーの標準工事ではないため、これを原因とした故障は保証の対象外となる事をお客様にご説明し、ご了解を得て施工しております。
②と③の落雪対策は、落雪の勢いを削ぐことを目的とするもので、雪が全く落ちなくなる訳ではありません。
【屋根雪の状況確認に行ってきました】→詳細はこちら